もっとも、「形態学」、「進化発生学」などと言われても何のことやらさっぱりなので、専門的なところまできちんと全部理解できたとは言いがたい。
この本をちゃんと理解するためにはもっと読み込んで、他の書籍にも当たってみるなどしなければならないのだろう。
しかし、さまざまな怪獣の諸形態について、そして、怪獣映画の諸相について、楽しそうに語るその語り口はユーモア感覚に溢れて、学術的なところは難しいが、全体的には読みやすい。
その方面の泰斗から、「形態学」、「進化発生学」という、耳慣れない学問の一端を垣間見させて貰うという贅沢を味わうことができたのも嬉しい。
「ヒューバート・ヴェナブルズ氏へのオマージュとして執筆」された「ゴジラ問題調査委員会中間報告書 牧悟郎博士の日記」は、グロテスクでなかなか怖い。
嵌まってしまったものを擁護したくなって、好きな作品に発見してしまった粗に整合性を持たせるために全力を傾注するという、わたし自身にも共通点のあるオタク精神を極めた、これは極上のオタク本なのである。
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で、『シン・ゴジラ』について。
著者の指摘になる、「個体の一生に生ずる変化」を「進化」と称するのは科学用語的には誤りであるという点は押さえておいたほうがいいと思う。
もっとも、正確を期してこれを「変態」と言ってしまうと、著者が山根恭太郎博士(架空)の言葉に仮託して語っているように、「何かこう、ビオランテとゴジラが芦ノ湖で妙な関係になっちゃったように聞こえて仕方がない」ことになってしまうわけで、やはり悩ましいところかもしれない。
ともあれ、そういうところにもきちんと整合性を持たせた、倉谷滋理学博士科学監修による怪獣映画を、是非観てみたいものである。
ちなみにわたしが最初のブルーレイ鑑賞中に、いくら何でもそりゃないよと突っ込みを入れたくなったのは、ゴジラの遺伝子情報が人類の8倍というくだりの、「これでゴジラがこの星で最も進化した生物という事実が確定しました」という台詞(^^ゞ
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『ウルトラマン』をこどもっぽいと感じてしまった生意気なガキだったわたしが面白いと思って見た怪獣映画は『ゴジラ(初代)』と『ウルトラQ』くらいのもので、わたしはちっとも怪獣オタクじゃありません。
あと、『ガメラ2 レギオン襲来』は結構好き(^^ゞ
『シン・ゴジラ』――幻想の日本を浸食するゴジラという現実――(ネタバレ注意)
『シン・ゴジラ』特典映像、観ました〜〜っ(^^)v(ネタバレ注意)