書籍データは持っている本のものです。現在最新のデータではありません。
『太字斜体』の見出しは書籍名、「太字」の見出しは単行本収録の作品名です。
「斜体」は引用です。
地図を片手に読みたい |
今回の“鮫”の舞台は西新宿。
秋せんべい店(菊地秀行『魔界都市〈新宿〉』)の近辺です。
西新宿の歴史が詳細に描かれて、地図を片手に読むとまた格別(^^)
戦後の闇市時代の屍蝋化した死体(懐かしい。“横溝正史”だ!!)が発見され、“鮫”は、現在の自動車窃盗事件と、すでに時効が成立している過去の殺人事件を追うことになります。
今回は、警察内のごたごたはなくて、“鮫”自身にはあまり大きな危機や理不尽は降りかからず、安心して楽しく読めました。
前回の『氷舞』は苦しかった(^^ゞ
そういう風に書いてあるわけだけど、やくざの“真壁”と、今回はちょこっと出てくるだけの“仙田”が格好良かった。
(註)『魔界都市〈新宿〉』のところからは『ファンタジー ノベルズ ガイド』へのリンクを張ってあります。
『魔界都市〈新宿〉』関係は書籍が多く、データは完璧ではありませんが、『ファンタジー ノベルズ ガイド』を参照してくださいm(__)m
これ見よがしのグロではないので読めた |
ホラーの短編集なんだけど、あまりこれ見よがしな、えげつなくとにかく怖がらせてやろうという、グロのためのグロではないので“蓼虫”にも読めた。
吸血鬼の老夫婦の静かな晩年と桜の季節の死への旅立ちを描いた「老年」と、歴史的かな遣いによる俳句日記の形で人類の滅亡を描いた「水妖記」がお気に入り。
「水妖記」は、途中で歴史的かな遣いをやめて普通の語り口になっちゃって、おまけに主人公は狂っちゃうんだけど、狂わないで、最後まではじめの調子で書いてくれたほうがたぶん“蓼虫”の趣味ではあると思う。