書籍データは持っている本のものです。現在最新のデータではありません。
『太字斜体』の見出しは書籍名、「太字」の見出しは単行本収録の作品名です。
「斜体」は引用です。

“蓼食う虫”のあたらし本コーナー
014号(2000年10月27日)


SHINJUKU ZAME Y FUWKA-SUIMYAKU by Oosawa Arimasa

新宿鮫Y 風化水脈

大沢在昌 著

地図を片手に読みたい

今回の“鮫”の舞台は西新宿。
秋せんべい店菊地秀行『魔界都市〈新宿〉』)の近辺です。
西新宿の歴史が詳細に描かれて、地図を片手に読むとまた格別(^^)

戦後の闇市時代の屍蝋化した死体(懐かしい。“横溝正史”だ!!)が発見され、“鮫”は、現在の自動車窃盗事件と、すでに時効が成立している過去の殺人事件を追うことになります。
今回は、警察内のごたごたはなくて、“鮫”自身にはあまり大きな危機や理不尽は降りかからず、安心して楽しく読めました。
前回の『氷舞』は苦しかった(^^ゞ

そういう風に書いてあるわけだけど、やくざの“真壁”と、今回はちょこっと出てくるだけの“仙田”が格好良かった。

(註)『魔界都市〈新宿〉』のところからは『ファンタジー ノベルズ ガイド』へのリンクを張ってあります。
『魔界都市〈新宿〉』関係は書籍が多く、データは完璧ではありませんが、『ファンタジー ノベルズ ガイド』を参照してくださいm(__)m

2000年8月30日 1,700円 毎日新聞社
新宿鮫X 氷舞』 SHINJUKU ZAME X KOORI-MAI 1997年10月25日  848円  光文社カッパ・ノベルス

八つ墓村』 YATSUHAKA-MURA by Yokomizo Seishi 横溝正史 1975年11月20日23版発行(初版は1971年4月30日) 380円 角川文庫(発表年は1949年3月〜1951年1月。ただし雑誌なので1月号は1950年に出ているのかも)

KABANE-BUNE by Kurasaka Kiichirou

屍船(かばねぶね) 

倉阪鬼一郎 著

これ見よがしのグロではないので読めた

ホラーの短編集なんだけど、あまりこれ見よがしな、えげつなくとにかく怖がらせてやろうという、グロのためのグロではないので“蓼虫”にも読めた。

吸血鬼の老夫婦の静かな晩年と桜の季節の死への旅立ちを描いた「老年」と、歴史的かな遣いによる俳句日記の形で人類の滅亡を描いた「水妖記」がお気に入り。
「水妖記」は、途中で歴史的かな遣いをやめて普通の語り口になっちゃって、おまけに主人公は狂っちゃうんだけど、狂わないで、最後まではじめの調子で書いてくれたほうがたぶん“蓼虫”の趣味ではあると思う。

2000年8月31日 1,600円 徳間書店

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