いよいよ、「マイナンバー通知カード」の郵送が始まった。
一方的に番号を付けられて管理されることには大きな忌避感があるのだが、住民票がこの国にある以上、既に付番はされてしまっているわけで、通知カードの受け取りを拒否したところで、こちらが不利益を被ることになるだけで意味がない。
しかしそれでも、個人で自己防衛のために何かできることはないのだろうかと考えると、取り敢えずは、情報漏洩をできるだけ防ぐということになるのだろうか。
で、本人以外にマイナンバーの情報を持つのが何処になるかと考えると、当面は、役所と、そして、給与や報酬の支払い元ということになるだろう。
銀行や病院がマイナンバーの情報を持つようになるのはまだ先のことなので、今は考えないことにする。
役所については、向こうの方が情報源であり、既に情報が先方にあるので、これには対処のしようがない。
それに、ここで漏れてしまった場合は、建前上でも、役所はある程度の対処はするだろう……と信じるしかない。
給与や報酬の支払元へは、こちらからマイナンバーを知らせるという手続きが必要になってくるのだが、ここで、知らせないという選択肢は可能だろうか?
内閣官房、国税庁、厚生労働省のホームページを見てみると、支払元から役所へ提出する書類にマイナンバーの記載がなくても罰則規定などはなく、また、マイナンバーの記載のない書類の提出も可能となっているようだ。
支払先の側にも、マイナンバーを支払元へ知らせないことへの法律上の罰則などはないらしい。
支払元との関係が悪くなって働きにくくなったり仕事が来なくなったりするかもしれないと考えると難しいかもしれないが、マイナンバーを知らせない方向で、支払元と話し合ってみる余地はあるかもしれない。
支払元のほうもまた、支払先のマイナンバー情報を知ってしまうことで懲役を含む厳しい刑事罰を受けたり、民事上の賠償責任を負わされる危険性があるわけで、支払先のマイナンバー情報など知らないほうがいいかもしれないのだから。
ということで、支払元からはマイナンバーの記載のない書類を役所へ提出してもらい、その上で役所のほうから個人宛に改めて問い合わせなどがあった場合は、元々の情報を持っているその役所とのみ、マイナンバー情報のやりとりをすれば、情報漏洩の危険を少しは減らせるのではないかと思うのだが、どうだろう?
* * *
内閣官房のホームページによると、
Q4−2−5 税や社会保障の関係書類へのマイナンバー(個人番号)の記載にあたり、事業者は従業員等からマイナンバーを取得する必要がありますが、その際、従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか?
A4−2−5 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。国税庁のホームページによると、
Q2-3-2 申告書等に個人番号・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。
(答)
申告書や法定調書等の記載対象となっている方全てが個人番号・法人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号・法人番号を記載することはできませんので、個人番号・法人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
Q2-3-3 申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合に罰則の適用はあるのですか。
(答)
申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。
Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。
(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。厚生労働省のホームページによると、
追加Q1 個人番号の届出義務が努力義務であるのであれば、届出をしない場合であっても罰則等の適用はないのか。
(答)
○ 雇用保険手続の届出にあたり、個人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、雇用保険法上設けられておりませんが、個人番号の記載は番号法上求められている努力義務ですので、御協力・御理解をお願いします。
Q11 従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続についてどのような取扱いとなるのか。
(答)
○ 雇用保険手続の届出にあたって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた(努力)義務であることをご理解いただいた上で、従業員から個人番号の提供を求めることとなりますが、仮に提供を拒否された場合には、個人番号欄を空白の状態で雇用保険手続の届出をしていただくこととなります。
※個人番号の記載がないことをもって、ハローワークが雇用保険手続の届出を受理しないということはありません。
○ その上で、再度、従業員から個人番号の提供を求めた上で、個人番号の提供があった場合には、所定の様式により提出していただくこととしています。
追加Q6 従業員から個人番号の提供が受けられなかった場合は、理由書の提出が必要となるのか。
(答)
○ 個人番号の提供が受けられなかった場合であっても、理由書の提出や提供が受けられなかった理由等の説明は不要です。
追加Q7 従業員の個人番号を届出しなかった場合に、ハローワークから督促等がされるのか。
(答)
○ 事業主の個人番号の届出は努力義務であり、強制力をもって届出を行わせる性質のものではないことから、個別に個人番号の届出の督促を行う予定はありません。ただし、広く届出の協力依頼は行っていくこととしています。となっていて、
さらには、内閣官房のホームページによると、
Q5−3 マイナンバーも漏えいする場合があるのではないですか?
A5−3 マイナンバーでは、制度・システムの両面からさまざまな安全管理対策を講じます。加えて、マイナンバーの取扱いに関する監視監督は、第三者委員会である特定個人情報保護委員会が行います。故意にマイナンバー付きの個人情報ファイルを提供した場合などには厳しい罰則も適用されます。
Q4−7−1 故意でなく個人番号や特定個人情報等が漏えいしてしまった場合でも罰則が適用されますか。(例:サイバー攻撃等で情報が漏れた場合等)
A4−7−1 過失による情報漏えいに、いきなり罰則ということはありません。ただし、漏えいの様態によっては、特定個人情報保護委員会から改善を命令される場合があり、それに従わない場合、罰則はありえます。以上は刑事罰の場合ですが、民事の場合は、過失でも損害賠償請求をされる可能性はあります。(2015年9月回答)
【参考】刑法法規の解釈・適用は裁判所や捜査機関の権限となりますので、一般論となりますが、特定個人情報の漏えいが起きた場合には、番号法第67条から第75条に基づき、罰則の構成要件に該当すれば、処罰されます。これらの罰則は、故意がなければ構成要件を満たしません。とあるのだが……。
マイナンバーがないと働けない?
10月16日 生命保険とマイナンバー