コラム

SANGO-SYOU NO SEIBUTSU TACHI KYOUZON TO TEKIOU NO SEIBUTSU-GAKU by Motokawa Tatsuo

サンゴ礁の生物たち 共生と適応の生物学

本川達雄


ナマコのファンタジーな生態

ナマコの生態がとてもファンタジー。

「ナマコの再生力は強い。パラオではタマナマコを二つに切り、中の腸を取り出して食べる。二つになった胴体は海に返してやるが、そうすると、二つの断片のおのおのがナマコになって、腸も再生する。」
「日本でも──略──腸を抜いてからナマコを海にもどすことにより、ナマコを殺さずにコノワタをつくっているところがある。マナマコは、早いときには一ヵ月で腸を元通り再生できる。」
「このナマコ(シカクナマコ)にそっと指を触れると、体壁はふわっとへっこむほどのやわらかさだ。ところが強く指でつつくと、体壁はたちまちかたくなって、変形しなくなる。このナマコを両手に持ってもんでいると、最初はゴチゴチにかたくなるが、数分間も続けていると、今度はものすごくやわらかくなり、体壁は粘液状になって、指の間からドロドロと流れ出す。──略──いったんドロドロになったナマコも、海に返してやれば、ちゃんと元のナマコらしい形になって生きていく。」

『サンゴ礁の生物たち 共生と適応の生物学』  SANGO-SYOU NO SEIBUTSU TACHI KYOUZON TO TEKIOU NO SEIBUTSU-GAKU by Motokawa Tatsuo  本川達雄 著  1985年6月25日  中公新書

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