“鬼”に関するあまりにも有名な一冊です。
研究書としてはさまざまに批判も多く、 また実際、言語学的におかしい所などもあるようですが、
歴史の暗黒に生きたものの――滅びの側にあるものの哀切の美学が、
イメージとして美しく読者をを魅了します。
ちょっと言い過ぎ(いい間違い?)かもしれませんが、
上質の伝奇小説といった感があります。
つまり、快く瞞されてしまったという読後感が嬉しいく、
さまざまに想像力を喚起してくれるのです。
「鬼と女とは人に見えぬぞよき ――『虫めづる姫君』」
「みちのくの安達が原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか ――『大和物語』」