コラム

ONI NO KENKYUW by Baba Akiko

鬼の研究

馬場あき子


滅びの側にあるものの哀切の美学

“鬼”に関するあまりにも有名な一冊です。
研究書としてはさまざまに批判も多く、 また実際、言語学的におかしい所などもあるようですが、 歴史の暗黒に生きたものの――滅びの側にあるものの哀切の美学が、 イメージとして美しく読者をを魅了します。
ちょっと言い過ぎ(いい間違い?)かもしれませんが、 上質の伝奇小説といった感があります。 つまり、快く瞞されてしまったという読後感が嬉しいく、 さまざまに想像力を喚起してくれるのです。

「鬼と女とは人に見えぬぞよき   ――『虫めづる姫君』
「みちのくの安達が原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか   ――『大和物語』

『鬼の研究』  ONI NO KENKYUW by Baba Akiko  馬場あき子 著  1971年6月30日  三一書房
『鬼の研究』  ONI NO KENKYUW by Baba Akiko  馬場あき子 著  1976年4月15日  角川文庫
『鬼の研究』  ONI NO KENKYUW by Baba Akiko  馬場あき子 著  1988年12月1日  ちくま文庫

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