星と民俗の研究家であり、“冥王星”の命名者としても知られる著者の、“星”への愛情あふれる一冊です。
天文の本ではありません。
随筆──文学なんでしょうね、これは。
読むほどに、星に関連して次から次と喚起されるイメージに飲み込まれて、一種異様な酩酊感に身を任せることができます。
「血紅星」、「天狼南中」、「星曼陀羅」、「霊魂の門」、「朱鳥の星」、
「星盗人」なんて見出しを見ているだけでも、何となくイメージが湧いてきて楽しくなります。
とうに故人となってしまった著者の本は、ほかにも文庫で何冊かを読むことができますが、 これと、やはり中公文庫の『日本の星 星の方言集』がおすすめです。