でもそう思うのは、わたしの科学的素養が乏しくてきちんと読み取れていないせいなのか？ と思いつつ、『三体�供々�暗森林』を読んでいて、次の文言に行き当たった。
「いまは追い風なのでヨットに乗れる。夜は風向きが変わるから、ちょうど戻ってこられる」（上巻２０７頁）
わたしたちのリアルワールドに実在するヨットは揚力を利用して向かい風に向かって進むことが出来る、ということくらいは、このわたしでも知ってるぞ……と思ったところで、遅まきながらはっきりした気がする｡
『三体』は、科学考証を無視して、人間ドラマやストーリーを楽しむ作品であるらしい。
わたしは基本的に、科学考証や科学的整合性のアラが目につくＳＦは引っかかってしまって読むのが辛いのだが、人間ドラマや社会風刺の口調が楽しすぎて、科学考証に目をつむって読み通してしまってなおかつ結構「好き！」と言える『銀河英雄伝説』のようなＳＦ（かな？）もあるわけで、科学考証に問題があるからまったく駄目というわけではない。
『三体』もそのスタンスで読めば、それなりには面白い。
『銀英伝』は最初からハードＳＦのふりをしていないから気にしないで読めたのに対して、『三体』は科学用語を多用して一見バリバリのハードＳＦのように装っているため、余計気になって引っかかってしまっていたようだ。
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ちなみにわたしは、科学的整合性を突き詰めての大嘘に心地よくだまされるＳＦが大好きです。